2012年3月30日金曜日

震災で消えた小さな命展④



f:id:takagi-namako:20120325162141j:image
(奥羽本線車窓から 津軽平野)
今日から、いよいよ被災地での展覧会が始まりました。
宮城県の南三陸町です。
昨日の搬入作業は、うささんと友人の方、計三人でしていただいたと聞きました。
本当に、本当にお疲れ様です。
どうも有難うございました。


先週、5日ほど北東北を旅する機会がありました。
被災地とは離れた秋田や青森の日本海側でした。
雪原を走る列車の窓から、雪でつくられたみたいに真っ白な
白鳥が飛んでいる姿を見つけ、はっとしました。

白鳥たち渡り鳥は、10月末頃から現れて、3月末頃には北の大地へ
帰って行きます。
去年の今頃帰っていく白鳥は、東北の湖沼で恐ろしい震災を経験
したのですね。鳥たちは、どんなふうに感じたのでしょう。
そして、どんな思いで日本を離れて帰ったのでしょう。


去年、震災を経験した白鳥が、また今年東北の湖沼を訪れたの
かな…と思いながら、大きな鳥影を見ていました。




2012年3月17日土曜日

震災で消えた小さな命展について③



f:id:takagi-namako:20120329151259j:image:w360
(尼ヶ坂サロン展示風景うささん撮影)

今日から、名古屋でスタートしました。
昨日は、うささんと妹さんご家族とお友達の方々、搬入作業、大変お疲れ様でした。有難うございます。

せっかく展覧会がスタートした日なので、何か良いニュースはあるかな、と思って見てみましたが、なかなかありません。
一つあげるとすると、私の住む千葉県で、千葉市が東北被災地の瓦礫の処理を名乗りでてくれたというニュースでした。


受け入れてくれるところが無く、積み上げられた被災地の瓦礫の山をテレビの画面で見ると、なんとかならないかなと考えていました。
だからと言って、私のうちの庭にどうぞとはいきません。


放射能の問題で、受け入れを拒否する人々がいることを責めることは出来ませんが、出来る限りあの山を被災地から減らしてあげられたら、と思う人も多いと思います。


昨日、展示を終えたうささんから聞きました。
作家の皆さんが作品にこめた小さな命の存在が、ギャラリーの空間にひしめいているんだ、と。

被災地の瓦礫の山には、(見えなくても)そんな命のかけらが混じっているのかもしれないのだから、協力して、早く大気や地中へ還してあげられたらいいなと思いました。




2012年3月7日水曜日

震災で消えた小さな命展について②



f:id:takagi-namako:20120329150404j:image:w360
展覧会の案内状が出来上がり、いよいよ申し込まれた皆様へもお知らせが届くことになります。この案内状は、参加作家のお一人が募金がわりに作ってくださったと聞きました。本当に感謝したいです。

 
 案内状に描かれたうささんの絵。動物たちがそろって、じっとこちらを見ていました。
何か深い想いを抱えているようで、見ている私に様々なことをなげかけてくれます。

 
 私は、大きな災害や事故などの被災をしたことがありません。
けれど、とても大切な人間、とても大切な動物それぞれとお別れをしたことがあります。両方とも、突然でした。本当に、あっという間に旅立たれてしまったのです。
 どちらの時も、私は、哀しみの袋の中にすっぽり埋まって生活していました。それは、冷たくない雪の中のようで、周囲の音をシャットアウトし、移ろう時間を見ずに、視界も閉ざした袋の中でした。
 仕事に出かけるなどで外に行く時は、全く違う仮面をかぶって普通の日常生活をこなし、帰り道には再び袋の中へ急いで入っていくのです。
一体どのくらい、そのような生活をしたのかは憶えていませんが、自然に袋の中へ入る時間が減っていき、現在に至っています。


 大切な動物との別れでは、旅立ってしまった魂が、異なる体で生まれ変わってくれたのを実感したことで、哀しみは初めて過去になりました。
 動物は人間と比べて魂があまり汚れていないので、旅立っても短い時間で戻ってこれるのではと思うのです。 人間の魂の場合は、この世でいろいろと染み付いてしまった観念を、丁寧に洗浄したり乾燥したりしなくてはならないから、生まれ変わるのに時間がかかるかもしれません。けれど、長生きしていればいつか再会できるかもしれない、という気がするのです。


 案内状の中の動物たちは、ただ静かにこちらを見ています。
どんな言葉が聞こえるのか、耳を澄ましてみようと思います。