2012年3月7日水曜日

震災で消えた小さな命展について②



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展覧会の案内状が出来上がり、いよいよ申し込まれた皆様へもお知らせが届くことになります。この案内状は、参加作家のお一人が募金がわりに作ってくださったと聞きました。本当に感謝したいです。

 
 案内状に描かれたうささんの絵。動物たちがそろって、じっとこちらを見ていました。
何か深い想いを抱えているようで、見ている私に様々なことをなげかけてくれます。

 
 私は、大きな災害や事故などの被災をしたことがありません。
けれど、とても大切な人間、とても大切な動物それぞれとお別れをしたことがあります。両方とも、突然でした。本当に、あっという間に旅立たれてしまったのです。
 どちらの時も、私は、哀しみの袋の中にすっぽり埋まって生活していました。それは、冷たくない雪の中のようで、周囲の音をシャットアウトし、移ろう時間を見ずに、視界も閉ざした袋の中でした。
 仕事に出かけるなどで外に行く時は、全く違う仮面をかぶって普通の日常生活をこなし、帰り道には再び袋の中へ急いで入っていくのです。
一体どのくらい、そのような生活をしたのかは憶えていませんが、自然に袋の中へ入る時間が減っていき、現在に至っています。


 大切な動物との別れでは、旅立ってしまった魂が、異なる体で生まれ変わってくれたのを実感したことで、哀しみは初めて過去になりました。
 動物は人間と比べて魂があまり汚れていないので、旅立っても短い時間で戻ってこれるのではと思うのです。 人間の魂の場合は、この世でいろいろと染み付いてしまった観念を、丁寧に洗浄したり乾燥したりしなくてはならないから、生まれ変わるのに時間がかかるかもしれません。けれど、長生きしていればいつか再会できるかもしれない、という気がするのです。


 案内状の中の動物たちは、ただ静かにこちらを見ています。
どんな言葉が聞こえるのか、耳を澄ましてみようと思います。





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