2012年6月25日月曜日

大好きな丸いもの①



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(戦場ヶ原のわたすげ)

先週、奥日光の戦場ヶ原・小田代が原へ行って来ました。
首都圏から近く、日帰りも可能な場所なので、多くの人出があってにぎやかでした。
出来れば静かにそっと眺めたい景色ですが、お目当ての大好きなワタスゲに出会えて満足です。


私は、ワタスゲが大好きです。
あの、なんとものんきな丸い綿の群れが、風にゆらゆらしていると、
嬉しくなります。

 初めて見たのは、福島県の吾妻連邦の玄関口・浄土平の湿原でした。
吾妻スカイラインが通っているバス停から、歩いてすぐの場所にある湿原です。
そこからは、山形県へ抜ける県境の山々の縦走路が続いています。
私も、そこを初めて訪れた時、更に奥地へ歩く予定でしたから、スタート地点の浄土平は
早足で通り過ぎようとしていました。


 ところが、木道のそばでゆれている丸いワタスゲの群れを見つけてしまい、
立ち去りがたくなりました。
吾妻小富士の真上にかかる白い雲が、緑の草原にふんわりまるまって
降りてきているかのようでした。
 あまりにもかわいいワタスゲに一目ぼれし、写真を撮ったりメモ帳にスケッチしたりして、
木道をうろうろと往復してすごしました。
結局、奥の山へ行く時間は無くなり、すぐ近くの一切経山という山へ登るだけに
変更したのです。


 それ以来、たくさんの湿原に行きました。出来れば、ワタスゲが白い果穂をつける季節にたずねています。釧路湿原、尾瀬、八甲田、苗場、群馬の芳が平など、様々な場所で白くて丸い綿に会えました。
何度出会っても、ドキドキして幸せな気持ちになる『大好きな丸いもの』です。
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2012年6月13日水曜日

小さな駅の美術館~震災で消えた小さな命展⑨



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(紀勢本線・藤並駅 うささん撮影)
和歌山県の藤並駅の駅舎に併設された小さな美術館で、
小さな命展が始まりました。昨日の搬入はうささんと美術館の方三人で
やっていただいたそうで、ありがとうございます。

 
 駅舎にある美術館、とてもいいなあと思います。
紀勢本線を利用したことはありませんが、いつか藤並駅に立ち寄って
その時に偶然素敵な絵と出会いたいな、と思っています。


 16歳でバイク18歳で車の免許をいち早く取得し、乗り回していた私ですが
(注:ヤンキーではありません)20代になって、船や電車で旅をすることが好きになりました。
飛行機で行けば早いし価格も安いのに、ちょっと贅沢な夜行寝台にたくさん乗りました。
 はくつる・北斗星・はやぶさ・あさかぜ…今は消えてしまった列車も多いですね。
携帯電話もパソコンも勿論もっていない時なので、駅に備え付けてある時刻表をめくって列車を確かめ、宿泊は駅舎の公衆電話でタウンページをめくって探しました。

 
 その頃の私の旅に、駅と言う場所はとても大切で、駅にいる時間は
非常に重要でした。
不便な場所で、接続列車が何時間も来ない時。
ついつい美しい風景に見とれ、予定していた列車に乗り遅れた時。
深夜発の夜行にのるため、窓口も売店もすべて閉まった待合室に一人で待っていた時間。
今でこそ、そういう待ち時間にはすかさず携帯電話などに目を当てますが、
当時は、持っている観光ガイドブックや駅に貼られた掲示物などをぼんやり
眺めては、心に去来する物事を想って過ごしました。

 
 北海道のある駅で、駅構内にこじんまりと展示された写真展を見た時、
一枚の山の写真にとてもひきつけられた記憶があります。
駅員さんに、どこの山なのかたずねましたが、
「一般の方から募集した風景写真で、わからない」とのことでした。
結局、どこなのかわからぬまま、今も私の脳裏にはあの写真の山が
くっきりと残っています。一度きりの出会いなのに、十数年消えません。


『震災で消えた小さな命展』の絵の記憶を、偶然待ち合わせで訪れたどなたかの心の中へ、
そっと連れて行ってもらえたら嬉しいですね。
そして、絵の中の命たちが、見た人のその後の人生にじんわりと残ってくれたら、
さらに有難く思います。





2012年6月4日月曜日

6月になっていました



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(ヒルザキツキミソウ)

震災で消えた小さな命展が昨日、多賀城市で1日だけの展示がありました。
いよいよあとは和歌山と、特別追加の大槌町だけとなりました。
 絵に宿る動物たちは、一緒に台湾まで旅をしてきて、すっかり皆お友達どうしになっているのでしょうか。

 
 庭のまわりに、桃色の月見草がたくさん咲いていてキレイです。
これは昼咲き月見草と言う名で、北米原産の帰化植物だそうです。
手入れの甘いうちの庭でも増えることのできる、強い草のようですね。
帰化植物というものは、迷惑そうに語られることが多いです。
帰化動物となると、更に、害獣などと呼ばれかねません。


 自然状態では起こりえない人為的な移動により、本来分布していない
生態圏へ移動し、在来種を駆逐してしまう…などと汚名を着せられて
います。
そもそも、鉄のかたまりが空を駆け抜けて行く飛行機も、
自然ではありえないことですし、人間の都合で野に放したり
繁殖させたりする行為自体、自然界で起こってはならないこと。
ヒルザキツキミソウだけではなく、周りにはたくさん帰化した命がいます。
ウシガエル、ジャンボタニシ、コジュケイ、アカミミガメ…。
 

 人間という生物は、そこにいるだけで自然にダメージを大きく与えるのですから、これ以上バランスを崩さないように、ヒッソリコッソリ生息してほしいものです。