2012年6月13日水曜日

小さな駅の美術館~震災で消えた小さな命展⑨



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(紀勢本線・藤並駅 うささん撮影)
和歌山県の藤並駅の駅舎に併設された小さな美術館で、
小さな命展が始まりました。昨日の搬入はうささんと美術館の方三人で
やっていただいたそうで、ありがとうございます。

 
 駅舎にある美術館、とてもいいなあと思います。
紀勢本線を利用したことはありませんが、いつか藤並駅に立ち寄って
その時に偶然素敵な絵と出会いたいな、と思っています。


 16歳でバイク18歳で車の免許をいち早く取得し、乗り回していた私ですが
(注:ヤンキーではありません)20代になって、船や電車で旅をすることが好きになりました。
飛行機で行けば早いし価格も安いのに、ちょっと贅沢な夜行寝台にたくさん乗りました。
 はくつる・北斗星・はやぶさ・あさかぜ…今は消えてしまった列車も多いですね。
携帯電話もパソコンも勿論もっていない時なので、駅に備え付けてある時刻表をめくって列車を確かめ、宿泊は駅舎の公衆電話でタウンページをめくって探しました。

 
 その頃の私の旅に、駅と言う場所はとても大切で、駅にいる時間は
非常に重要でした。
不便な場所で、接続列車が何時間も来ない時。
ついつい美しい風景に見とれ、予定していた列車に乗り遅れた時。
深夜発の夜行にのるため、窓口も売店もすべて閉まった待合室に一人で待っていた時間。
今でこそ、そういう待ち時間にはすかさず携帯電話などに目を当てますが、
当時は、持っている観光ガイドブックや駅に貼られた掲示物などをぼんやり
眺めては、心に去来する物事を想って過ごしました。

 
 北海道のある駅で、駅構内にこじんまりと展示された写真展を見た時、
一枚の山の写真にとてもひきつけられた記憶があります。
駅員さんに、どこの山なのかたずねましたが、
「一般の方から募集した風景写真で、わからない」とのことでした。
結局、どこなのかわからぬまま、今も私の脳裏にはあの写真の山が
くっきりと残っています。一度きりの出会いなのに、十数年消えません。


『震災で消えた小さな命展』の絵の記憶を、偶然待ち合わせで訪れたどなたかの心の中へ、
そっと連れて行ってもらえたら嬉しいですね。
そして、絵の中の命たちが、見た人のその後の人生にじんわりと残ってくれたら、
さらに有難く思います。





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