2012年7月10日火曜日

震災で消えた小さな命展⑩



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(シーサイドタウンマスト・うささん撮影)
6日の金曜日から昨日の16時まで、岩手県の大槌町で
特別追加展が行われ、16時以降は『絵になった動物たち』が
申し込みされた飼い主さんの元へと帰っていく時間が設けられ、
たくさんの方がお迎えに来てくださったそうです。
うささん、会場をお手伝いしてくださったボランティアの方、
本当にありがとうございました。


3ヶ月半の間、一緒に過ごした絵の動物たちは、
「じゃあね、元気でね!」
とお互いあいさつしているのかもしれません。
「またいつか会えるかな。」
「家がわかったから、会いにいくよ!」
そんな言葉が飛び交っているのかもしれません。
そんな想像をすると、あたたかい涙があふれます。


幼稚園の頃の、悪天候日のお迎えを思い出しました。
私の通っていた小さな幼稚園は、スクールバスもなく、
晴天時は集合場所まで先生と集団で少しの間歩いて帰り、
そこで保護者が待っていたのでした。
けれど、ひどい雨の時などは、集合場所まで歩くことを見合わせ、
園舎のある丘の上まで、保護者がお迎えに来てくれるのです。
 ある雷雨の日のこと。
外は滝のような豪雨で、時折稲妻の閃光や雷鳴がとどろいていました。
大好きなサトウ先生が、大好きな紙芝居の「ロボットカミイ」
を読んでいて、私たちはお迎えを待っている時間でした。
紙芝居が始まってすぐ、私の名前が呼ばれました。
「お母さんがきたよ。」
(え…。)
自宅で洋裁の仕事をしていた母は、
このような時は、誰よりも早く迎えに来てくれたのです。
帰り道、母が持ってきてくれた雨合羽に身をつつみ、
手をつないで歩きながら、私は不満を打ち明けたそうです。
「お母さん、お願いだから遅くお迎えにきて。」
そのことは私は憶えていないのですが…。

今になれば、とにかく早く来てくれた母に感謝です。
でも、あの時の私は紙芝居が気になって仕方なかったのでしょうね。

 

 お迎えにきてもらった絵も、飼い主さんのご都合が悪くて
あとから郵送される絵も、7月の末までには確実に家へ
帰っていくのでしょう。

 そして、震災で消えた小さな命展パート2が、
また新しい魂たちをのせて、8月から始まるのです。