2012年10月14日日曜日

震災で消えた小さな命展…16



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現在、盛岡市のリリオで行われています。
会場は駅から少し歩く場所にあるそうですが、
テレビで紹介されたおかげで、お客さんが来てくれている
とききました。今日は最終日です。
どうか、もっとたくさんの方が来ていただけますように。


 盛岡と聞くと思い出す人が、村上昭夫です。
『動物哀歌』という詩集一冊を残し夭折した岩手県の詩人です。
今年は生誕85周年だそうで、彼の命日10月11日の「こおろぎ忌」から
現在、盛岡市で記念行事が行われているようです。
『部屋にはこおろぎがいるのに なぜこおろぎの話をしないのか
 この部屋の人達はみんな女の話ばかりする』
この文で始まる詩、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
初めてこの詩を読んだ時、私はすぐに作者について調べました。
 当時はパソコンも身近になく、インターネットを利用することも出来なかったので、
図書館でいろいろ検索して調べました。
そして動物哀歌という詩集と、村上昭夫という詩人について知ったのでした。


 私も時々上の詩のように思います。
山を歩いていて、海辺を歩いていて思います。
「山には鳥が鳴いている なぜ鳥の話をしないのか
 海には貝が落ちている なぜ貝の話をしないのか
 歩いている人達は みな 山や海と関係ない話ばかりする」

命について突き詰め、澄んだ世界の詩を生んだ詩人が、
もしも魂となって盛岡市内を訪れていてくれるなら、
『小さな命展』会場に立ち寄ってくれないかな、と思います。





2012年10月3日水曜日

震災で消えた小さな命展…15



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(釜石での展示風景)
岩手沿岸部での展示が釜石で9月28日から始まり、
現在は、大槌町シーサイドタウン・マストで行われています。
たくさんの方が観に来られていると聞き、嬉しく思います。
開催に携わって下さる方たちに、いつもながら感謝しています。


今回出させていただいた、もう一つの作品が、
かわいらしい顔の茶トラ猫のKちゃんと、ミドリガメ(アカミミガメ)の
Wちゃんです。
依頼された方は大槌町にお住まいなのに、早く観たいからというお気持ちで
釜石まで来て下さったそうです。その気持ちに応えられたかどうか、
自信がない私ですが、絵に込めた気持ちは伝わったかと信じています。

 
 一緒に暮らしたことはありませんが、私は亀が好きです。
ダイビングやシュノーケリングをしていて海亀と出会えた時には、
本当に幸せな気分でした。
 どちらかというと、甲羅が丸く盛り上がったリクガメのほうが好きで、
ヨーロッパ旅行をしているときに野良リクガメ?に会えたのも
忘れられない嬉しい思い出です。

 
 でも一番最近出会った亀はWちゃんと同じ、アカミミガメです。
この夏、近所の農道を自転車で走っている時、用水路のそばで会ったのです。
 猛烈に暑い日でした。
自転車に乗っている私にも、ジリジリと暑さの伝わるアスファルトの上を、
その亀は一生懸命歩いていました。猛暑で枯れてしまった水路を脱出し、
水のある場所を探しているようでした。
(無事に水場へたどり着けるのだろうか。)
自転車で田んぼの中の一本道を走っていると、悲しい交通事故にあって
命を落としている亀や蛙を多く目にするのでした。
 農道のはるか向こうからトラックがやってくるのを見て、
思わず私は亀をつかみ、その先の水路土手へ置きました。
あの亀がその水路へ行きたかったかどうか、私にはわかりません。 
もしかしたら、余計なお世話だったのかもしれません。
 
 秋になり、ようやく雨も多くなった現在、あの亀が無事に水路を泳いでいてくれる
ことを祈ります。今は、水路のそばに彼岸花が赤く連なっています。