2013年3月13日水曜日

震災で消えた小さな命展・・・18



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(こぼれた種から芽を出したコキアの赤ちゃんたち)
 
 今日から神戸での展示が始まりました。
東北巡回中絵の依頼が追加され、途中から合流した8つの命たちは、
他の仲間たちと仲良くなったでしょうか。

 展示していただいてる大丸デパートの神戸店は、
18年前の阪神淡路大震災で大きく損壊しましたが、
約2年半後に営業を再開出来たそうです。


 2年という年月は、短い時間なのでしょうか。
それともいろいろな事を成せる時間なのでしょうか。
東日本大震災から2年を経た今、メディアに映る東北の被災地や原発の跡地を
目にすると、焦燥感を感じる方たちも多いかと思います。
でも私は、確実に少しずつ良い方向へ立ち上がっていることを信じています。

 そして絵になっている動物たちが、かつて震災があった神戸でも
大切な想いを伝えてくれたらいいなと願いたいです。




2013年3月3日日曜日

うすあかるい国



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(イナリ湖のオーロラ Itoi氏撮影)

 ひな祭の今日、いたましいニュースが報じられていました。
昨日北日本に吹き荒れた猛吹雪が起こした事故…吹雪で車が立ち往生したことが
原因で、ほとんど方が自宅からすぐ近い場所で凍死されたそうです。
 幾人もの命が亡くなった中で、吹雪の中をお子さんをかばうように
抱きかかえたまま、命を落としたお父さんのニュースに胸が痛みました。
お子さんは助かったと聞きました。


 宮沢賢治の『ひかりの素足』を思い出しました。
あの話は、童話よりも宗教的な法話に近い要素が含まれていると言われますが、
無宗教の私にとっても、一度読んだら忘れられない話の一つでした。
 2人の幼い兄弟が、急激に悪化した天候の猛吹雪に巻き込まれ、
兄は弟を抱きかかえたまま、弟だけ命を落としてしまう悲しい話です。 
 
 けれど、ただ悲しいだけではない話です。
兄弟がこの世とあの世の合間をさまようその時間が心につきささります。
うすあかるい国(地獄のようなこの世とあの世の境目)から、
白く輝く国(天国)の入り口へ弟を見送る兄の気持ちはどんなもの
だったのか、初めて読んだ幼い頃の私は悲しさより恐怖を感じたのを
憶えています。
 現実の世界へ帰った兄が、旅立った亡き弟の安らかな顔を見て物語は終わりますが、
やりきれない気持ちより、しんとした静けさが心に訪れるのでした。


 昨夜の猛吹雪で命を落としてしまった方が、どうか安らかに
白く輝く国へたどり着けますように…。
お子さんをかばって自分だけ旅立ってしまったお父さんが、
うすあかるい国でお子さんと心を通わせたことを祈ります。