2014年4月27日日曜日

ミルク色の岩



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(岩手県・幽玄洞)
石灰岩土壌の地下には、複雑な鍾乳洞が多いです。
私は昔から洞窟が大好きでした。初めて訪れたのはあぶくま洞(福島県)で、小学校低学年の頃だったかと思います。日本国内はもちろん、海外旅行先でも、
鍾乳洞があると聞くとつい訪れたくなるのでした。
 ミルク色のひだや、垂れ下がるツララのような岩は、触れずに見ていると
やわらかい物体に思えました。雨水にとけて長い年月をかけて再び固まったそれらの岩を眺めると、なんとも言えない不思議な気持ちになります。


 石灰岩地形は、地下も地上も魅力があるのです。溶解しやすいのに風化に強い石灰岩は、地上に面白い形の岩を残してくれるのです。
 中国の桂林や石林は、広範囲に見飽きない風景が広がっていて大興奮でした。
「石灰岩がそんなに好きなんて、前世に石灰岩に生息する生き物だったんじゃないの?」
と友人に笑われたことがありました。
それはどうだかわかりませんが、いつか自分の体内のカルシウムも、この地球に堆積する石灰岩の一部になるのでしょう。そして果てしない時間の後、地殻変動などで陸地へ移動して洞窟として出現するかもしれません。
 その時、洞窟を歩いているのは今の私たちと同じ人間なのか、それとも人間はもうとっくに絶滅して見たことのない生き物なのか…鍾乳洞の中では空想がふくらみます。





2014年4月11日金曜日

巨大すりばち



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(南イタリアプーリア州・アルタムーラ)
先月末から今月にかけて、初めてイタリアへ行きました。
ボローニャブックフェアで、お世話になっているオーストリアの出版社の方と
ゆっくり会い、お食事する目的を果たしたその後、南イタリアへ足をのばしました。

 私はヨーロッパであまり怖い思いをしたことがないので、南イタリアは絶対に気を引き締めて!と何度も友人に釘を刺されました。
 言われた通り貴重品はしっかり身に付け、かばんのファスナーは忘れず、かなり気合を入れました。独りで電車やバスを待つ時、ゴルゴ13のように背中は必ず壁につけて立っていました。
 鉄道のストライキで大慌てしたり、子どもを連れて物乞いをする人々にはやりきれない気持ちを抱きましたが、結果的に怖い思いはせずに旅を終えることができました。

いろいろ心に残った景色があります。アルベロベッロの小人の集落みたいな風景、カプリ島の鮮やかな海の色。マテーラの歴史が塗り込められた洞窟の白い街など…。
でも、一枚選んだ写真は上の場所でした。
 プーロと呼ばれる石灰岩特有のすり鉢型陥没です。カルスト地形のドリーネと同じもののようですが、規模がものすごい…直径550メートル、深さ92メートルだそうです!
カメラにとても収めきれない広さで、ごっそり陥没していました。
石灰岩の空洞だらけの地形なので、地下へ地上が落ちこんだだけであると言われればそれまでなのですが、私はいつもこうした地形に何故か心をひきつけられます。
迷宮のような鍾乳洞がある時突然凹み、地上と地下が合体した場所。目に見えない巨大隕石が落下して凹んだようにも思えます。