2014年9月23日火曜日

心が静かになる花



f:id:takagi-namako:20140923024944j:image
(お客をのせた彼岸花)
 好きな花の一つですが、この花が咲くと心の中がしんとした静けさに包まれます。花の名前がそうさせるのか?そういうふうに思う人が私に限らずたくさんいるようです。
 もしかしたらその理由の一つに、小学4年生の教科書に昔から変わらずのっている「ごんぎつね」の物語があるかもしれません。
 
 
  読書好きだった私は、国語の教科書をもらうとすぐに物語ばかりひろって読みあさっていたのですが、初めて読んだ当時感じたやりきれなさは、大人になって読み返しても変わりません。
 正直を言うとあまり好きではない物語です。
けれどその中で、『彼岸花が赤いきれのようにさき続いていました』と続きの文『村の方から、カーン、カーンと鐘が鳴ってきました。そう式の出る合図です。』という部分が強く心に刷り込まれているのです。紅い彼岸花のあぜ道を、白い葬列が墓地へ向けて続いていく、その場面がこの花を寂しく感じさせているのかもしれません。
 
 そして、「ごんぎつね」の紅い花へつながる、私自身の思い出がもう一つありました。
私がこの物語を学んだ小学4年生の終わり頃、15歳年上の叔父を亡くしました。まだ25歳という若さで、兄のように遊んでもらった叔父がこの世から消えたことは、私の人生で初めての大きな悲しみと衝撃でした。当時土葬だった叔父の生家で、3m近い積雪の中を、葬列が鐘を鳴らして墓地へ続きました。「ごんぎつね」の中と同じようにカーンカーンという鐘、念仏、それとすすり泣く声が白い村に響いていました。
 春の彼岸より10日ほど早い、3月初旬です。

 今日は秋の彼岸のお中日。
祖父母たちと叔父の写真の前には、おはぎとあずき&ホイップどら焼きが供えられています。
庭の彼岸花も一番美しい開き具合です。