2015年2月3日火曜日

すぐとなりの恐怖

先日、数十年ぶりに東京タワーへ出かけました。タワーの1階にある水族館が目的地です。
現在絵を描いている、お魚さんの姿を見たかったからです。
水族館を出た後、ふと思い出しました。
 東京タワーといえば…恐怖の「ろう人形館」。リアルな人間が動かずに静止しているだけでも怖いのに、途中で現れる「拷問されている人間たち」(ヨーロッパ中世の拷問の再現)が恐ろしくてずっと後まで忘れられませんでした。
「今もあるのかな…」と思いきや、一昨年に「ろう人形館」は閉館されていました。
 その後調べてみたら、私が恐怖におののいた「拷問風景」はだいぶ前から、入場者すべてに見えぬよう壁に仕切られていて、のぞきたい人だけがのぞき穴から見るように変わっていたそうです。怖がる子どもたちが多すぎて、保護者の方々からクレームがきたのでしょうか。
 とにかく恐ろしい光景でした。水車にはりつけられて水責めにあう人や、熱湯をかけられている人が暗闇に展示され、叫び声をあげているのですから。
 初めて訪れた当時5才の私は、当然大泣きしました。その後タワー内で撮った、白雪姫と小人たちとのスタジオ写真が残っているのですが、笑顔の白雪姫たちに囲まれて、泣き顔のまま非常に陰鬱な私が写っています。
 今も忘れられないと言うけれど、あの恐怖は私の身近にある恐怖ではありませんでした。だから大人になってしまえば、あくまでも「怖かった思い出」にすぎません。
 でも、あのような恐怖がすぐ近くにあるところで育ったらと思いました。
 残虐行為は、現在も世界のいたるところで起きています。
テロリストによる自爆や拷問・殺戮。正義を信じる軍隊による爆撃。
 そんな恐ろしい現実が、自分の町やすぐとなりで起きている場所があります。
5才の私が抱いた恐怖などガラスケースごしでしかないけれど、パソコンやテレビの画面上で見るよりか心の底へ入り込んでいたかもれません。
 

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