2015年7月30日木曜日

るすばんねこ 5


 るすばんねこ1週間目。今朝はいつもより涼しいせいか窓際のくつろぎ場所にいたニャアコちゃん。
勢いよく繁るミニトマトをじっと見ていました。
 トマトジャングルに飛来する蝶やトンボ、ハチの動きから目を放せないようです。

 ニャアコちゃんは、食べ物に幅広い好奇心をしめさない方のようです。
これは喜びそう!というようなものも警戒してあまり手を出さず、いつものごはんがいいようです。
 私も食べ物に関してかなり保守的なので、気持ちはよく分かります。
知らない食べ物にチャレンジしようという気がほとんどないのです。同じメニューが続いてもあまり飽きません。つまらなくない?と言われますが、大丈夫です。
 
 保守的ですが、私が現在どうしても食べられないものはそれほどありません。
子どもの頃は苦手なものだらけで、給食に四苦八苦していました。
 
 子どもが嫌うものは今も昔も大体、苦味のある野菜が多いですが、素材でなくて調理加工されたものは、味より色や形状で嫌うこともありそうです。
 トマトが好きなのに、トマトジュースは嫌いだという子に、味が嫌なの?と聞いたら、
「味は好き。血みたいで嫌なの。」
と言いました。なるほど、私も幼い頃そんな理由で嫌いなものがあった気がします。紫のキャベツや玉ねぎなど、毒のように見えて怖かったり、ゴマ和えなども、まるで汚れているみたいに見えて食べたくなかったのです。
 大人になってしまえばそんなはずがないとわかるので、美味しくいただけるのですが。

 ニャアコちゃんたち猫が食欲をさそわれるのは、見た目より匂いなのでしょうか。
赤いトマトを食べる私を不思議そうに見て、口元まで匂いをかぎに来ますが、まったく興味ありませんわという様子。
肉食女子のニャアコちゃん、ベジ猫への誘いは無視!です。


 
 





2015年7月20日月曜日

震災で消えた小さな命展・・・32

 
千代田区の一口坂ギャラリー展示が昨日で終わりました。
時間をさいて受付と会場係、搬入出をしてくださったボランティアの方たち、第一回からギャラリーを提供してくださっているオーナーの藤代さんに感謝です。本当にありがとうございました。
 いつも思う事ですが、透明感があるのに、とてもあたたかい空気に包まれるギャラリーでした。終わってしまったのがさみしい気がします。
 
 ギャラリーへ向かった日、総武線各駅停車の車内で、3人の外国の方が賑やかに乗っていました。陽気な青年たちはスマートフォンとガイドブックを両手に持ち、東京見物中のようです。その中の1人が手に持っていたペンを落とし、私の隣に立つ日本人女性の足下へ転がりました。
 落とした青年はすぐに拾い上げたものの、スカートをはいた若い女性の足元へ手を伸ばしたのでぎょっとされてしまいました。大きな声で「ソーリー!」と何度も連発し、手に持っていた本を素早くめくると、ぴったりの日本語を見つけたとばかりに「シツレイシマシタ!ゴメンナサイ!」と何度かあやまっていました。
 「ごめんなさいとありがとうは、ことが起きたその場で言うのが一番いいんだよ!」
と子どもらに教えていた小学校の先生の言葉を思い出しました。
混みあった電車内でぶつかっても無言ですり抜ける人、降りる駅で道をあけてもらっても見向きもせずに急ぐ人。
 あの青年みたいに何度も大きな声であやまらなくても、余裕のない人々の間に一言でも「ありがとう」と「失礼しました」があれば、満員列車のストレスはかなり減るのでしょうね。
 
 命展へ申し込みされた方の中には、あの日の朝、家族と口ケンカをして別れたまま震災で家族を失い、二度と謝ることが出来なくなった方もいます。あとで仲直りしたくても突然日常がひっくり返され、もぎ取られてしまうことがあるのです。
 震災から4年が経ち、小さな命の展覧会への関心も薄れてきているのを感じますが、私達の日常がいつ切断されてしまうかわからない可能性があることを、忘れないでほしいと思います。

2015年7月3日金曜日

るすばんねこ 4

16日間のるすばんを終え、4日間うささんとぺったり過ごしたニャアコちゃん。
うささんは、今日3日の岩手県花巻市の講演・5日からの新潟展へ旅立ちました。
再びるすばんねこになっていることを、見送ったばかりでよく分かっていない様子のニャアコちゃんです。

 ニャアコちゃんの足を投げ出した姿がウサギみたいでかわいくて、写真を撮りましたが、怖い事を思い出しました。
18年も昔のことですが、青森県の五能線沿いで途中下車して散歩していた時、路肩に足を投げ出して寝そべる一匹の野良猫と会いました。その猫はまるでリラックスしているような寝姿なのに、近づく私にはげしく威嚇しはじめ、きばをむく勢い。不自然に上半身だけ持ち上げています。
 3mほど近くに来てやっとわかりました。右後足をトラバサミに挟まれていたのです。
どうしよう…青ざめた私は何かそのワナをこじあけるものがないか探しました。
 猫は私の緊迫した気配におののいたのか、鎖がついたトラバサミをひきずって歩き始めます。ガシャン、ズルズルと金具を引きずる路面に血の跡がつきました。
逃げないで、なんとか外したいから!という気持ちなど通じません。彼らにとっては恐ろしい人間の一味ですから。
 猫は私を警戒しながら農家の庭にある倉庫に入っていきました。そっとついていくと、ちょうど家人が通りかかったので理由を話しました。
「ああ、もうすぐ死ぬべ。そしたら外せるから。」
なんでもないことのように言って、その人は家へ入ってしまいました。
 しばらく呆然としていた私でしたが、近くに転がっていた棒をもって猫に近づきました。倉庫の角に追い詰め、そばにあったビニールシートで猫を覆いながら必死に金具へ棒をさしこみました。ガチャンと音をたてて金具が開いたと同時に猫は3本足で飛び出し、跳ねるように5mほど遠ざかった所で立ち止まって振り返りました。真っ赤ですが、足がちぎれずについているのは見えました。そして猫は路肩のしげみへ消えてしまいました。
 私は血だらけのトラバサミをぶら下げ、降りた無人駅へ走りました。一刻も早くその場所を去りたかったし、悲しさと怒りがまざった激しい気持ちでした。駅のゴミ箱へ、トラバサミに空き缶をいくつも挟み込み、くさりでめちゃくちゃに縛って捨てました。
 
 8年前の2007年には、あの恐ろしいワナを使うことは法律で禁じられていますが、以前は当たり前のように害獣(野良猫も含む)に使われていたと、後で知りました。

 ニャアコちゃんのかわいい姿を見ながら思い出した恐ろしい事ですが、野良猫出身のニャアコちゃんも、何か怖い体験をしているかもしれません。もしそうなら早く忘れ去ってほしいものです。