2015年7月20日月曜日

震災で消えた小さな命展・・・32

 
千代田区の一口坂ギャラリー展示が昨日で終わりました。
時間をさいて受付と会場係、搬入出をしてくださったボランティアの方たち、第一回からギャラリーを提供してくださっているオーナーの藤代さんに感謝です。本当にありがとうございました。
 いつも思う事ですが、透明感があるのに、とてもあたたかい空気に包まれるギャラリーでした。終わってしまったのがさみしい気がします。
 
 ギャラリーへ向かった日、総武線各駅停車の車内で、3人の外国の方が賑やかに乗っていました。陽気な青年たちはスマートフォンとガイドブックを両手に持ち、東京見物中のようです。その中の1人が手に持っていたペンを落とし、私の隣に立つ日本人女性の足下へ転がりました。
 落とした青年はすぐに拾い上げたものの、スカートをはいた若い女性の足元へ手を伸ばしたのでぎょっとされてしまいました。大きな声で「ソーリー!」と何度も連発し、手に持っていた本を素早くめくると、ぴったりの日本語を見つけたとばかりに「シツレイシマシタ!ゴメンナサイ!」と何度かあやまっていました。
 「ごめんなさいとありがとうは、ことが起きたその場で言うのが一番いいんだよ!」
と子どもらに教えていた小学校の先生の言葉を思い出しました。
混みあった電車内でぶつかっても無言ですり抜ける人、降りる駅で道をあけてもらっても見向きもせずに急ぐ人。
 あの青年みたいに何度も大きな声であやまらなくても、余裕のない人々の間に一言でも「ありがとう」と「失礼しました」があれば、満員列車のストレスはかなり減るのでしょうね。
 
 命展へ申し込みされた方の中には、あの日の朝、家族と口ケンカをして別れたまま震災で家族を失い、二度と謝ることが出来なくなった方もいます。あとで仲直りしたくても突然日常がひっくり返され、もぎ取られてしまうことがあるのです。
 震災から4年が経ち、小さな命の展覧会への関心も薄れてきているのを感じますが、私達の日常がいつ切断されてしまうかわからない可能性があることを、忘れないでほしいと思います。

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