2015年11月29日日曜日

誕生日


 15年前の今日、私は都内の職場近くで一匹の『捨てうさぎ』を拾いました。 
引越しの不用品とともに、その小さな命は置き去られていたのです。
野生のノウサギでなく、ノラうさぎが存在するなんて考えたこともありませんでしたが、都会の公園でうさぎが健康に生きていけるはずがないことくらい、当時の私にも解りました。
後に友人と共同で迎えた大切な家族となりましたが、その時はどうしたらいいものかおろおろしていました。
 寒い北風が吹く日、街路樹の落ち葉を追いかけるように食べていたうさぎは、やせて目が大きく見えました。保護されると、こわばってかたまったままです。
 自転車通勤だったので、背中のリュックサックにうさぎをすっぽりつつみ、私は家路を急ぎました。世田谷区の職場からアパートのある杉並区まで、30分弱の道のり。
うさぎはおとなしく、私に背負われてやってきたのです。
 でも、一度だけ背中のうさぎはリュックの中で動きました。帰り途中、ペットショップに寄り道した時です。うさぎのフードを探していた店内。突如、傍らにいたチンチラがゲージ越しに私のリュックをじいっと眺め、小さな体でぴょんぴょん飛び跳ねました。
 すると、わずかに遅れてリュックの中のうさぎもぴょんっと伸び上がるようにジャンプしたのです。
彼らは無言で、何かを伝え合っていたのでしょうか。
リュックに包まれたうさぎのことを、ペットショップに囲われたチンチラはどんなふうに思い、何て言ったのでしょう。
 15年経った今日も、私はあのチンチラの顔が忘れられません。
今日は、あの日背中に背負って連れ帰った大切な家族の誕生記念日ですが、
あのチンチラにも、そんな記念日が訪れたことを願いながら、毎年この日を思い出します。




2015年11月13日金曜日

ひょうたんと土偶さん

先日、国立科学博物館で『世界のひょうたん展』を見ました。
なぜだかわかりませんが、ひょうたん には昔から憧れに近い気持ちがありました。
家にあったひょうたん型の七味唐辛子入れも、本物じゃなくて木製ですが大好きでした。
庭先にひょうたんがぶら下がっている家があると、ついつい立ち止まって見てしまいます。


 ひょうたん展、科学博物館の中でも地味な展示室でしたが、なんとも魅力ある展覧会でした。
アフリカ大陸や南米を中心に容器、飾り、楽器など、用途はさまざまで、お面や呪術など、変わった用途のひょうたんもあります。

「最古の栽培植物…。」
およそ6千年も昔から水入れなどに利用していたという説明板を読み、ほお!と感動しました。
調べてみたら、日本の縄文遺跡から栽培されていた痕跡を示すものが出ているとのこと。
私の大好きな土偶さんたちと、ひょうたんも同じ時代を観ていたのです。
ますます、 ひょうたんへの魅力がアップしました。