2016年9月30日金曜日

舞い降りたお客さま

 
(南房総市三芳村の彼岸花)
 今年もこの花が咲きました。この花がたくさん咲いているのを見ると、静かな気持ちになりますが、今年はずいぶん派手に咲いている風景を見られました。

 咲き誇る花の列に、赤い色が好きと言われているアゲハ蝶がたくさん舞い降りていました。
蝶を見ていたら、若い頃、中国哲学の『老荘思想』に夢中になったのを思い出しました。
有名な説話が『胡蝶の夢』だから、蝶で思い出したのでしょうか。
「夢の中で蝶になり飛んでいた所、目が覚めたが、はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか」という説話。
「現実世界で相反するかに見える事象は見せかけに過ぎず、万物はすべて等しい。どこからどこで区別されているかなど無意味」といった思想が好きでした。
物体は、観測するまではそれが何か決定しない。観測時点に物体は定まるという量子力学の世界にも通じそうな思想です。
 人間が区分け・線引き出来る世界など、ちっぽけな点に過ぎない気がします。

 蝶の飛び方は、予測不能で不確かです。ちょっと酔っているような、気まぐれなような、めくらましのような…。世界中のあちこちで、蝶は死者の魂と信じられていたようですが、蝶に限らずすべての動物や虫たちは、かつて人間だった方たちの魂が宿っているかもしれません。
私はもし生まれ変わるとしたら、何がいいか考えました…が、思いつきませんでした。
 ナマコさんを尊敬しているのですが、ナマコにはなれない気がします。

2016年9月19日月曜日

危険な引越し

 
 
先月から各地で台風による災害のニュースを聞くことが多く、本当に胸が痛みます。
災害支援に動いてくださっている方たちへ感謝し、これ以上被害が出ないよう祈るばかりですが、今週もまた、台風が接近中だと聞きました。
 先日、写真のアカミミガメを夜の路上で発見しました。高速で走り抜ける車の多い、県道のセンターライン横に首をすくめて止まっていました…。朝になると動物の事故を見かけることがある危険な道です。
 私も運転中だったので亀の手前で停車し、あわてて助手席へ連れ込みました。
驚いて甲羅だけになった亀に、「用事が終わるまでちょっとおとなしくしていて」と言い聞かせましたが、私と初めての自動車がとても怖かったのでしょうね。おどろくべきスピードで助手席下のマットをめくりあげて姿を隠しました!
その後大きな沼へ亀を連れて行き、水辺で放す前にかわいい顔を撮らせてもらいました。
立派な甲羅は20センチほどあり、ずっしり重い命でした。

 亀たちは時々あのように路上を渡っているようです。道路わきにのびる農業用水路沿いに住む彼らは、長雨で水が増えたり、乾燥で水が枯れたりすると引っ越さざるを得ないようです。
 翌朝の通勤途中、違う場所で、路上で息絶える亀を見つけました。
私の住む地域は、今のところ水害もなく無事に過ごしているのですが、小さな命たちは被害を受けていました。天災で住む場所を奪われる命は見えない場所にもたくさんあるのを改めて想いました。