2016年12月19日月曜日

るすばんねこ 18

 
 
るすばん一ヶ月を過ぎ、今日が最終日のニャアコちゃん。すっかり冬支度です。かまくら風の赤いドーム内にはタータンチェックのベッドが入れてあり、二重構造の暖かさなのでした。
 暖地では無理な望みですが、たくさん雪が降ったら「かまくら」をつくってみたくなります。
私は幼い頃、祖父母の家・福島県奥会津地方で雪と戯れさせてもらったので、雪の穴の不思議な空間は体感しています。しんとしているようで、かすかな音が聞こえるせまいあなぐら。
 でも実は、窓のない空間が苦手で、ちょっと時間が経つとそわそわして出たくなってしまいます。窓から外の景色が見えないと、落ち着かないのです。
 一昨年、南イタリア・アルベロベッロにあるトゥルッリという建物に泊まりました。メルヘンチックな小人の集落みたいで、白い壁に囲まれた小さな丸い家はかわいい三角屋根をのせていました。
 素敵なコテージでしたが、室内はとても小さな窓が一つだけ。せっかく泊まったくせにやはりそわそわ落ち着かず、ほとんど外を散策していました。
 友人には「洞窟が好きなくせに、変なの!」と言われますが、特に閉所や暗所の恐怖症ではなく、ただ外を見たくなってしまうだけです。もしかして、前々世あたりで、外界が見たくても見えない城壁に囲まれたお姫様だったかもしれない…と言ったら、悪いことして一生牢屋で過ごしたんじゃないと笑われました…どっちにしても、窓のない住居は考えられません。
 ニャアコちゃんも窓辺が大好き。でも、とても怖がりさんなので、突然、聞きなれない物音や人がやってくると風のように赤いかまくらへかけこんでしまいます。かけこむだけじゃ安心できないのか、さらにチェックのベッド下へもぐりこんで、まったく姿を隠してしまうのでした。その早業、まるでイリュージョンです。

2016年12月13日火曜日

にぎやかな秘境

 先日、千葉県君津市の「濃溝の滝・亀岩洞門」を訪れる機会がありました。
インターネットやテレビでかなり話題になっていると聞いていたのですが、もう紅葉も終わったし、そんなに人がいないでしょうと思ったら大間違い。大型バスまで停車していて、一周30分弱の遊歩道は、ゾロゾロ行列が途切れません。写真は少し人が切れたところをねらって撮ったものです。
 ネットでは、東京からすぐ来れる秘境としてもてはやされていました。ネット閲覧しないご高齢の方も、NHKのニュースで出ていたからねえと駆けつけます。やはり、テレビとインターネットはすごい影響力だなあ…と改めて思いながら、私も行列の一部になって歩きました。
 「あれいいね!」も「これダメ!」もあっという間に広がります。善い集まりを募るのも、悪い犯罪が巣食うのも…まさに、両刃の剣ですね。
 これが普通の滝だけでトンネルがなかったらここまで人気が出なかったかもしれません。
各地にあるさまざまな洞窟や洞門は、多くが聖地になっています。神々しいものや、畏怖するものを洞窟や洞門に感じる古人が多いのでしょうね。
「そこをくぐると…」異空間へ行くことが出来る、または今の自分から突き抜けた者になれる!などという修行の場もあります。
 そういうご利益もあるかもしれませんが、私たちはそこにひっそりと住んでいる『ダレカさん』の存在を踏みにじらないように訪れたいものです。ガヤガヤと大声で叫んでみたり、酔っ払ったついでに走ってみたりするようなことなく…。神様もびっくりして逃げてしまいます。