2017年4月30日日曜日

春の終わり


 4月が終わるとき、春も終わる気がします。明日からは夏の初めに向かっていきます。
家の前の田に稲の子が整列し、今年もカルガモさんご夫婦が泳ぎはじめました。
去年、子だくさんだったお母さんかどうかはわかりませんが、今年も元気に子育てしてほしいです。
 2年程前の春、茨城県の北浦・白鳥飛来地へ、白鳥に会いに行きました。
けれど出かけるのが一足遅く、白鳥たちはすでに北国へ旅立った後…水辺にはこれから旅立つ鴨たちがひしめいていました。給餌に訪れる人々と鴨をぼおっと見ていた私と友人ですが、突然信じられない光景を眼にしました。
 パンをあげながら鴨に近づいた老夫婦が、突如、鴨を捕獲したのです。羽を両手でがっちり封じている老人の行動にあっけにとられてしまいましたが、抗議すると、老人はちょっと捕まえてみただけだとごまかして鴨を放しました。明らかに慣れた手つきでしたし、彼らのワゴン車は後部座席が真っ黒に目隠ししてあったので、おそらく常習犯です。鳥を捕まえてどうするのかわかりませんが、こうして飛来地で無防備に近づいてくる鴨を捕獲しているのでしょう。
 警察に車のナンバーを通報し、パトロールに来たのを確認してからその場を去りましたが、だんだん空しさがこみあげてきました。はるばる旅してきて、給餌してくれる人がいるありがたいスポットである場所なのに、いきなりそれを裏切られたら、鴨はどんな気持ちになるのでしょう。それを見ている他の鳥たちも、どんな気持ちになるのでしょう。さまざまな困難を乗り越えてやってきたはずの越冬地で、こんな事に遭うとは…。
 人間が一番怖い生き物だということを、改めて思い出させてくれる事件でした。


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